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2回目のモザンビーク・アイキャンプへ

建物の前に溢れる笑顔の人、ひと、ヒト。自然と歌声が湧き上がって合唱となり、それに合わせて踊り出す。

これは、田上純真副院長が今年6月、アフリカ眼科医療を支援する会(AOSA)が行うアイキャンプで訪れたモザンビーク共和国の病院での光景だ。「集まっているのは失明した人たちです。手術で見えるようになった瞬間、嬉しさのあまり踊り出す人もいます(笑)」と語る副院長。病院の前で繰り広げられる歌とダンスは、あふれんばかりの喜びと感謝の気持ちを表現しているのだという。

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モザンビークは、アフリカの南東部に位置し、日本の約2倍の国土に人口約3000万人を有する国である。ポルトガルから独立後、17年に渡る内戦を経て1992年に停戦。壊滅的だった経済は、国際支援のもと成長を遂げているものの、未だ世界の最貧国のひとつに名を連ねる。医療の支援は不十分で、平均寿命は世界で下から10番目の42歳という現状の中、副院長の専門である眼科医療にいたっては、国全体で眼科医がわずか10名ほどしかおらず、人口のおよそ1%が失明しているといわれている。

「この国では年齢に関わらず、白内障で失明する人が多いんです。それは近くに眼科医がいないことが大きな要因です。日本なら目のトラブルが起きたら、すぐに病院へ行って治療できるので、失明の事態に陥ることはめったにない。モザンビークではほとんどの人が目の治療も手術もできないばかりか、そもそも病院へ行くという概念がありません」

田上副院長が、失明した人を救うアイキャンプに参加するのは、今年で2回目だ。日本人の眼科医や看護師ら有志によって結成されたNPO団体AOSAは、毎年、日本の冬にあたる6月から7月にかけて、モザンビークに1〜2週間滞在し、200人以上の白内障手術をボランティアで行う。

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今回は、6月12日に成田を出発し、ドバイ、ヨハネスブルクを経由し29時間かけてモザンビークの首都マプトに到着。向かったのは、さらに車で5、6時間の小さな町の病院だ。そこは、その地域では唯一の病院で、眼科医は1人いるものの、手術の技術は持っていないという。今年、キャンプに参加したのは田上副院長を含む4人の医師と看護師が1人。現地の眼科医が事前に集めておいた希望者の中から手術が必要な人を選別し、3日間かけて手術を行った。

「優先されるのは両目を失明した人で、キャンプでは片目だけ手術します。理由は、ひとりでも多くの人に光を取り戻してあげるため。今回、集まった300人のうち手術を行ったのは223人。毎日朝9時から夜7時まで休みなしで延々と手術するんですが、アドレナリンが出っ放しなので疲れは感じません」

実は、医療機器や機材が揃わない現地では、手術すること自体が難しいのだという。 「日本ではしないような古典的な術式を使います。スキルさえあれば短時間で、現在と遜色ない手術ができ、熟練した先生なら時間は1人5分、1日30人以上こなします。昨年僕は初めてだったので術式になれるのに苦労しました。今年は前回よりはいいだろうと思っていたけど、やはり難しくて1日に15人手術するのがやっとだった(笑)」

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こう語るが、現在、種子島医療センターで白内障手術をするのは、1日に4人が限度であることを考えると、想像を超える人数だ。

「僕はまだまだですけど、一緒にキャンプに行った先生方はみなさん、すごいんです。技術もそうだけどメンタルがすごい。アフリカの現場では何が起こるかわからないので、めちゃくちゃ怖いんです。僕らは怖くなったら手術はできないので、それを乗り越えてやらなくてはいけない。彼らはどんな状況下でもへこたれずにやり遂げる、真のプロフェッショナル。自分とのレベルの違いを見せつけられてへこみますが、すごい刺激になるし、そういう人たちと一緒に働けることは誇りです。おかげでメンタルが鍛えられ、帰ってきてからは手術時に不測の事態が起きても動じなくなりました。以前よりタフになったと思います」

AOSAの中心メンバーは、こうしたボランティア活動を30年前から世界各地で行っている。本来の目的は、日本の眼科医療技術を伝え、眼科医を育て、自分たちで治療や手術ができるようにすることだが、「のんきな国柄や国民性もあって、なかなか知識や技術が浸透しないんです。自立するにはまだまだ時間がかかると思う」という。

そもそも副院長は、なぜアイキャンプに参加しようと思ったのだろう。その理由をうかがってみた。

「AOSAの活動にはずっと興味があり、幸運にも機会を得て、昨年ようやく参加することができました。そこでの生活は、意外と自分に合っていて、日本にいる時よりも太るんです。不思議とパラパラのご飯や硬いパンが美味しくなってくる。食べないと10時間ぶっ通しで手術はできないというのもありますけど。アイキャンプは、日本にいたら経験できない、強烈な体験です。それでも行きたくなるのは、非日常的なことをしておかないと自分がだめになるんじゃないかと感じているからだと思う」

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日本は恵まれているとはいえ、医療の現場は過酷だ。より厳しい環境に身を投じるのは、医者として慣れへの怖さを誰よりも知っているからなのだろう。「来年も参加しますか」との問いに、「今年も田上理事長や髙尾病院長を始め、病院の皆さんが快諾してくれたおかげで行くことができました。この機会を与えていただいたことに感謝しています。できれば来年も参加したいと思っています」と答え、最後に「AOSAが受け入れてくれれば、ですけど」と、あくまでも謙虚。

6月21日に帰国した副院長。モザンビークでの活動や経験は、病院のスタッフにとっても刺激となり、医療従事者としての道を示してくれる。私たちにこれからどんな世界を見せてくれるのだろう。来年の報告が今から待ち遠しい。

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