朝礼講話

病院長 髙尾尊身

9月朝礼講話

—ナイチンゲール生誕200周年記念−

コロナ禍の年である2020年はフローレンス・ナイチンゲール生誕200周年にあたる。
看護師は勿論だがナイチンゲールを知らない人はいないだろう。ナイチンゲールはクリミア戦争へ従軍し、衛生状態の改善などにより負傷兵の死亡率を著しく減少させたことで有名となり、「白衣の天使」と呼ばれた。

ただ彼女は華美に称賛されることには快く思わず、「天使とは、美しい花をまき散らす者でなく、苦悩する者のために戦う者である」との言葉を残している。感染管理の礎を築いたことでも知られるが、彼女の際立った能力は、観察力、実行力、さらにプレゼンテーション力にあると思われる。病院の状況分析に用いた「蜘蛛の巣チャート」の発案はプレゼンテーション能力が結実した功績であり、英国では彼女を統計学の先駆者として称えている。

感染症診断への医学は急速に進歩し、遺伝子レベルでの検査(PCRなど)がどこでも可能となり、治療薬やワクチンの開発は、昔と異なり短期間で可能となっている。スペイン風邪が流行した100年前とはすべてが大きく異なっている。私たちがナイチンゲールに思いをはせる時、現状のコロナ禍における患者看護はどうあるべきだろうか。

新興感染症に対する看護では「犠牲なき献身」をいかに「実行できるか」ではなく、いかに「実行するか」の時代になっている。この6カ月で新型コロナの解析は急速に進み、「正しく恐れる」ことが可能となってきた。

種子島では幸いコロナ感染者の発生は見られていないが、いつ発症してもおかしくない状況と思われる。これまで、私たちは多くの疑い患者に対しては防護着をまとい、ゾーニングをして対処してきた。さらに、勉強会や訓練を重ねてきたので、陽性者がでたとしても正しい対応ができると信じている。

ナイチンゲールが生きていたらどのように対応しただろうか。コロナの終息までは気を抜かず私たちの努力の成果をナイチンゲールに確認してもらおう。